ここ数年は猛暑が続いており熱中症で倒れる人も多いですが、犬は人間よりも暑さに弱いためより注意が必要です。
犬種や持病・年齢などによって熱中症リスクは変わりますが、いずれにしても環境整備や水分摂取を意識的に行うことで予防できます。
今回は、愛犬を熱中症から守るための室内環境づくりのポイントに加え、実際に熱中症になった場合の症状や対処法などもご紹介します。
室内での熱中症予防に最も効果的なのは、エアコンです。外気との差を5℃前後に設定すると体に負担がかからず理想的。猛暑日などは設定温度を28℃くらいにしましょう。エアコンの運転モードは、除湿か弱冷房、またはドライにしてください。
また、日中でもレースカーテンは閉めて、直射日光が入るのを防ぎましょう。エアコンの冷気は下に溜まりやすいので、サーキュレーターなどで空気を循環させる方法がおすすめです。ワンちゃんに直接冷気が当たらないように気をつけましょう。
熱中症対策には気温だけではなく、湿度にも気を配ることが大切です。気温が低めでも湿度が高いときは、熱中症のリスクも高くなります。室内の湿度は常に60%以下に保つようにしましょう。
高齢や病気の犬の場合は体力があまりないため、室内温度は23〜25℃・湿度は50%に保つと理想的です。
犬は汗をかかないので、扇風機だけで熱中症対策をすることは難しいです。窓を開けているときに空気の流れをよくしたり、エアコンの冷気を室内に循環するために使用しましょう。
室内の温度・湿度にきちんと気を配っていても、まだ油断はできません。
犬は日光浴が好きな場合がほとんど。夏の日差しは強く、カーテン越しでも陽の当たる場所で寝ている間に熱中症になり、起き上がれなくなってさらに症状が悪化するケースもあります。十分に注意しましょう。
ゲージや普段過ごす場所に日光が当たる場合は、移動可能であればあまり日が当たらず風通しがいい場所に移しましょう。移動できない場合は、床の上に冷却パッドやペットボトルに水を入れて凍らせたものをタオルで巻き、側に置いてあげるといいですよ。
涼しいからといってエアコンの風が直接当たる場所は不向きです。
熱中症対策には、こまめな水分補給も重要です。
冷たい水ではなく常温の水道水でいいのでこまめに水を飲ませましょう。
留守番中には、家のいろいろな場所に飲水を用意してあげてください。水がなくなると自動的に一定量給水可能なペット用自動給水器などがおすすめです。
最近はペット用の暑さ対策グッズがたくさんあります。
上手に活用して、熱中症対策に役立てましょう。
夏の間利用している人も多い、接触冷感素材のマットです。エアコンで適温に保たれた室内でも冷えすぎず、ワンちゃんもひんやりして気持ちいいでしょう。
保冷剤のように中にジェル状の素材が入ったマットや、ひんやり素材のソファベッドもペット用に販売されています。
冷却マットだと噛んでしまうというワンちゃんにおすすめです。
アルミは体温を瞬時に放熱してくれるので、ひんやり感が持続します。子犬や小型犬にはアルミ製の猫鍋もいいですよ。
少し高価ですが汚れたらすぐ洗えますし、硬くて噛めません。電気も使わないのでおすすめです。
通気性がよく、熱がこもりにくいので、ゲージの床やワンちゃんの定位置に置いてあげるといいですよ。
タオルにくるんであげましょう。ただし、イタズラ好きなワンちゃんだと噛んでしまうかもしれないので、注意してください。
ペットの体液に近い電解質組成のドリンクや、ペット用の水素水などが市販されています。また、夏バテ防止目的の栄養ドリンクもあります。人間用のスポーツドリンクも水で半分に薄めれば与えられますよ。
一定量が自動的に給水されるグッズです。タンクに水を入れておけば、水飲み容器に水がなくなったら自動的にきれいな水が給水されます。留守番中の水分補給におすすめです。
良かれと思ってやっていたことが、実は逆効果ということもあります。
たとえば、
といったことが挙げられます。
人間は冷たい水や氷を口にすると気持ちいいので、ついワンちゃんにも与えてしまいがちですが、常温の水道水で大丈夫です。逆に冷たいものをたくさん与えると身体を冷やしたり、下痢になることもあるので注意が必要です。
犬の毛には保温と断熱の役割があるため、短くすると体温調節の機能が狂うこともあり、逆に熱中症のリスクが高くなる可能性があります。見た目が暑そうなのでカットしてあげたいと思うかもしれませんが、止めておきましょう。刈り上げや丸刈りも同様です。
スイカや冬瓜・きゅうり・レタスなどは体を冷やす食材です。とくにスイカは好きなワンちゃんも多いのでついつい与えてしまいがち。ですが、与え過ぎると糖分の過剰摂取による肥満や、身体が冷えすぎて下痢のもとになるので注意しましょう。
人間と同様に、ワンちゃんでも冷え性はあります。
などの様子が見られる場合、もしかしたら冷え性かもしれません。
このようなワンちゃんの場合はとくに、上記で挙げたような体を冷やしやすい行動はしないように気をつけましょう。
熱中症は急に症状が進行します。もしかして?と思う様子が見られたら要注意です。
このような症状が見られたら、なるべく早く病院へ連れていきましょう。
事前に電話しておくと、着いてからの対応がスムーズです。病院へ連れて行く前にしておくことは、次のとおりです。
水で濡らしたタオルや保冷パックなどで首・ワキ・内股などを冷やしたまま移動してください。意識がはっきりしていない場合は、浴室などで全身に水をかけるか、水の入った桶に首から下をつけます。水は常温で。
あればスポーツドリンクを水で半分に割ったものを与えましょう。意識がないときは無理に水を飲ませる必要はありません。
犬用のドリンクも市販されているので、万が一のために用意しておくと安心ですね。この場合も冷やしておく必要はありません。常温保存で大丈夫です。
人間と同様、犬の熱中症も気温・湿度を適正に保ち、こまめな水分補給を心がけてお役立ちグッズを活用すれば、リスクはだいぶ低くなるでしょう。
しかし熱中症は軽症に見えても、急に悪化する可能性もあります。熱中症の症状が見られた場合は、必ず動物病院で受診することをおすすめします。