動物の皮膚の表面には様々な細菌が住んでいて、これらの菌を常在菌(じょうざいきん)と呼びます。
常在菌は、他の菌が皮膚について悪さすることを防いでくれていますが、何らかの原因で常在菌が増えすぎてしまうと、皮膚炎になってしまいます。
これを膿皮症(のうひしょう)と呼びます。犬の皮膚炎の中では、一番多い疾患と言われています。
どうしてなってしまうの?
常在菌は動物の皮膚に問題がなければ、増えすぎてしまう事はありません。皮膚の問題とは、アレルギーやアトピー、内臓疾患、ノミやダニの寄生のほか、皮膚に合わないシャンプーを使っている、シャンプーのし過ぎ、食事が悪い、ストレスなどの可能性もあります。
これらの皮膚の問題により皮膚の抵抗力が落ちて、皮膚炎になってしまうのです。皮膚炎になってしまうと、赤いブツブツ(丘疹)がたくさんできたり、ニキビのようなものができたり、ドーナツ状にかぶれたりします。
脱毛したり、ジュクジュクしてきたりすることもあります。お腹の毛の少ないところ、背中、口の周り、足の指の間などが鳴りやすい場所ですが、体中のどこにでも発症する可能性があります。
ほとんどの場合は痒いので、掻いたり舐めたりすることで、症状が悪化することも多くあります。
どうしたらいいの?
皮膚炎を起こす原因はたくさんありますので、まずは検査をして、ノミやダニなどの寄生虫がいるかどうか、内臓やホルモンバランスなど、他の病気の症状かどうかを確認します。
常在菌以外の原因があれば、もちろんその治療も行いながら、膿皮症の治療を始めます。皮膚炎を起こしている個所や範囲によって、何種類かの治療方法を併用します。消毒薬、塗り薬、シャンプー、飲み薬などです。
皮膚の症状が完全になくなっても、その後数週間は治療を継続することが必要です。多くの場合は数週間で皮膚症状は治まりますが、常在菌は数を減らしただけで、皮膚には住み続けていますので、いつまた増えすぎてしまうか分かりません。
そのため、再発が非常に多い病気です。ですから、症状が改善したからと言って、すぐに治療の種類を減らしたり、止めてしまう事はできません。悪化予防対策を続けて再発を防止することが大切です。
定期的にシャンプーをしながら、皮膚に悪い環境を作らないように注意し、豆に皮膚の状態を確認してあげる必要があります。 膿皮症は、汚い所で遊んだり、他のワンちゃんからもらったりすることでは、ほとんど発症しません。
もしなってしまったら、その時にはいつもの生活環境や、寄生虫、内臓の他の病気を先に心配する必要があります。
「皮膚にブツブツができて痒い」のは辛いです。たかが皮膚病と思わずに、できるだけ早く治療を始めてあげてください。