バベシア症って?
バベシア症は、マダニによって媒介されるバベシア原虫が赤血球に感染する病気です。
犬の体内で赤血球が破壊され、貧血を起こします。病原体であるバベシア原虫は、西日本から沖縄に広く分布しています。
どうしてなってしまうの?
バベシアに感染している犬を吸血したマダニが他の犬を吸血することで感染します。そのため、バベシアの分布域で飼育されたり、散歩や旅行で外出し、マダ二に吸血される可能性のある犬は、感染の危険性があります。バベシアに感染しても、すべての犬がすぐに発症するわけではありません。元気でも発症することももちろんありますが、もともと体調が悪かったり、ストレスがかかったりすると発症する可能性が高くなります。また、免疫力が下がる作用のある投薬を受けていても発症の危険性は高くなります。
症状は?
バベシア症を発症したときの特徴的な症状は貧血です。これは、赤血球にバベシア原虫が感染することで、体内で赤血球が破壊される(溶血といいます)ことによります。貧血になると元気や食欲がなくなり、酸素が運べなくなるので呼吸が荒くなるなどの症状がみられるようになります。症状が重くなると歯茎や白目が黄色くなる黄疸や、尿が赤みを帯びる血色素尿も見られます。
どうしたらいいの?
残念ながらこの病気に対するワクチンはありません。抗原虫薬を投与して体内のバベシアを排除することと、輸血などの対症療法を行います。
血液中のバベシア原虫の減少と貧血の改善が認められれば、危機的状況は回避できたといえますが、治療を行ってもバベシア原虫を完全に体内から排除することはできないと考えられており、しばしば症状の再発が認められるので注意が必要です。
この病気の予防はマダニ予防です。一度バベシアに感染してしまうと完全に排除することは困難ですので、マダニ予防をしっかりしてあげてください。