大腿骨頭壊死症って?
犬の無菌性大腿骨頭壊死症とはレッグカルベペルテス病、虚血性大腿骨頭壊死症とも呼ばれ、骨盤と大腿骨との接続部(股関節)にある大腿骨頭と呼ばれる部位への血液供給が部分的に喪失し、大腿骨頭が壊死してしまう病気です。
大腿骨頭が壊死することで、股関節に痛みを感じて跛行(足を引きずって歩く)するなどの症状がみられます。この病気は成長過程(4~12ヶ月齢)の小型犬(ヨークシャーテリア、チワワ、トイプードル、ジャックラッセルテリア、ウエストハイランドホワイトテリア)で発症します。
どうしてなってしまうの?
骨頭への血液供給が喪失する原因については、ホルモンの異常、遺伝的要因などが考えられていますが正確な原因はよくわかっていません。その為、上記の様な小型犬種(テリア種に多い傾向があります)では血縁に限らず症状がないか注意深く確認する必要があります。
どうしたらいいの?
身体検査、レントゲン検査、月齢、犬種などを考慮して診断します。長期的に足を跛行することによって後ろ足の筋肉量に左右で差が生じます。またレントゲン検査では骨頭部にこの病気に特徴的な像(骨頭部の変形など)が確認できます。1度のレントゲン検査で顕著なこの病気特有の像が確認できなくても、短い期間で進行していく病気のため、短いスパンでレントゲンの再検査を行なって診断をつけるケースもあります。内科的療法として抗炎症剤の投与を行いますが、患部への血液供給が喪失しているため、これにより患部の痛みが緩和されることは稀です。したがって、多くの場合外科的療法が必要となります。外科的療法としては、壊死している大腿骨頭を切り落とす大腿骨頭切除術や人工関節に置換する股間節全置換術がありますが、一般的には大腿骨頭切除術が適用となります。術後は関節可動域の制限がかかり、筋肉量にも左右差があるため、術後の適切なリハビリが重要です。