アレルギー反応は、通常の環境下に存在する物質に対して起こる免疫反応のひとつです。
動物の皮膚症状のうち、30%以上はアレルギーによるものと言われています。
皮膚の症状は春から夏にかけて悪化する傾向にあります。
これは、この時期に花粉やカビの量が空気中に増えることも関係しています。
とくに梅雨時期に痒がる傾向にある場合は、ハウスダストやカビによる環境アレルゲンが原因になっていることが多いです。
どんな症状が出るのでしょう?
人間と動物のアレルギーの仕組みは同じですが、症状が多少異なります。
犬は、かゆみを伴う皮膚症状がより一般的です。よく体を掻いたり、足を舐めたり噛んだり、顔をこするなどします。
猫は、呼吸器症状が多く現れます。また、食物アレルギーも皮膚症状を引き起こします。その他、下痢や糞便の回数の増加も報告されています。
治療は必要なのでしょうか?
まず、皮膚の症状はとても痒いです。
これは非常にストレスです。またアレルギーが進行すると、傷口から細菌が侵入して感染症を引き起こすなど、状態が深刻化していきます。
アレルギーと診断された場合は、アレルゲンを回避することが治療の助けになります。
では、どのようにアレルギー診断をするの?
すべての痒みがアレルギーというわけではありません。
しかし、アレルギー以外の痒みを除外できた場合は、アレルギーを疑い検査に進みます。
検査は、血液を採取して検査センターに送ることで、アレルギーのサインを体に引き起こすIgE抗体に、体がどのように反応しているかを調べることでわかります。
検査センターで、草・木・カビ類・ハウスダスト・ダニのような環境アレルゲンや、フードに含まれる食材に対する感受性が検査されます。
検査をしてどんなことがわかるの?
アレルギーはひとつのアレルゲンによって症状が出るとは限りません。
いくつかのアレルゲンによる重複の感作、さまざまなストレス、細菌やカビの感染なども加わり発症すると言われています。
複雑な要因から成るアレルギー症状のうち、何がアレルゲンになっているかを知ることができます。
治療はどうするの?
痒みがひどく、皮膚を掻き壊したりしている場合は、細菌感染を伴っていることも多く、抗生物質を使います。また、痒みをしっかりと抑え込むためにステロイド剤の投与が必要なこともあります。
ステロイドと聞くと、あまりいい印象を持たない方が多くいますが、適材適所で、管理して使っていれば、それほど副作用などを心配する必要はありません。
むしろ、使うことを恐れて、皮膚病がひどくなったり、悪化してしまうケースも少なくありません。当院では、体重からステロイドの年間使用量を算出して、その中でコントロールできるように、努めます。
そのほかにもインターフェロン療法や減感作療法、シクロスポリンといった、皮膚のアレルギーを抑える薬剤を用いた治療法など、飼い主様と話し合いながら、治療を進めていきます。
愛犬・愛猫の痒みが気になる方がいらっしゃれば、お気軽に当院にお問い合わせください。