レプトスピラ症って?
レプトスピラ(Leptospira)という病原性をもった細菌に感染することによって起こる病気です。
病気が非常に早く進行してしまうと、症状を発症せずに突然死してしまう場合があります。急性の場合、発熱、元気や食欲の低下、嘔吐、脱水がみられ、重症例となると肝不全、腎不全が生じて、吐血、体の表面の点状出血、黒っぽい便が出る、体の粘膜や白目の部位が黄色になる黄疸が確認されるケースがあります。腎臓が重度に障害を受けると、尿が出ない状態(乏尿)になってしまう場合があります。
生存率は70~85%であるとの報告がなされており、回復した場合でも慢性腎臓病や肝不全などの後遺症が残る可能性もあります。
レプトスピラ症は人獣共通感染症でもあり、人にも感染する可能性のある感染症で、届出伝染病に指定されています。
どうしてなってしまうの?
一般的には、野外のげっ歯類が保菌していると言われています。そのげっ歯類に接触する以外にも、げっ歯類の尿中に含まれたレプトスピラが土壌や水溜りを汚染し、それらの環境に接することでも感染するリスクがあります。感染した犬同士からの感染もあるため、注意が必要です。
具体的には、菌が傷口や粘膜に付着したり、汚染された水を飲むことで経口的に感染したりします。また人も同様で、感染している動物との接触や、汚染された環境に接することで感染リスクがあります。
どうしたらいいの?
一般的にレプトスピラ症の発生は、沖縄や西日本を中心に確認されています。しかし、単発的に関東でもみられていたり、西日本に旅行に行った際に感染し、帰宅後に発症するなどのケースも考えられます。
感染した場合は、抗菌薬の投薬を長期に渡り行う必要があり、その他症状に応じて様々な対症療法を行っていきます。
診断は抗体反応を用いた検査や、PCRを用いた検査、培養検査などで行います。犬はワクチンによって予防できますが、レプトスピラは200種以上の種類(血清型)が存在することが知られており、ワクチンごとに対応している血清型や免疫持続期間が異なるためワクチンを接種すれば完全に感染を予防できるわけではありません。したがって、ワクチンに頼り切るのではなく、レプトスピラの常在地域の汚染がありそうな水気の多い屋外ではそこの水を飲ませない等、十分に注意が必要です。