てんかんとは?
大脳から強い電気信号が出されるために、けいれんなどの発作症状を繰り返す疾患です。犬に多いですが、猫にも認められます。
原因は?
脳の病気に伴っててんかん発作が生じる「症候性てんかん」と、脳に病気は見つからない原因不明の「特発性てんかん」の二つに分類されます。特発性てんかんは何らかの遺伝子の異常の影響が考えられています。
そのほか、脳以外の体の異常や中毒なども同様の発作の原因になります。
すべての動物種で発生しますが、犬ではとても多く、100頭に1~5頭の割合で発生します。
特発性てんかんは1~5歳で発症することが多く、それ以外の年齢の発症においては症候性てんかんの可能性が高くなります。
症状は?
非常にさまざまな発作症状がありますが、もっともよく認められるのは、体を突っ張ったようなけいれんを起こす強直発作と、体をガクガクさせけいれんする間代発作です。
通常、これらの発作を起こしているときは、動物の意識はありません。その他として、体の一部分だけが突っ張る運動発作や筋肉が瞬間的に大きくピクッと動くミオクロニー発作などがあります。発作後に症状が終わると、動物は何事もなかったかのように普通に戻ります。
通常のてんかん発作は、多くは数秒から2分以内に治まるのですが、てんかん発作が持続し、あるいは完全に回復せずに繰り返すことを「てんかん重積状態」といいます。これはときに重い後遺症を残したり、死に至ることもあるので、ただちに発作を抑えなければなりません。
診断は?
てんかん発作の原因を探るためには、まずは脳以外の疾患の除外を血液検査やレントゲン、尿検査によって行います。
それらの検査で、異常が認められない場合、MRI検査や脳脊髄液検査を行いますが、これらの検査には全身麻酔が必要となります。
治療は?
特発性てんかんでは、てんかんを抑える薬(抗てんかん薬)によって回数や発作の症状を軽くする治療が中心となります。
てんかんは放置すると、発作が起きやすい脳に変わってしまう危険があります。目安として3か月に2回以上のてんかん発作を起こすようだと、抗てんかん薬を内服することを勧めます。
適切な抗てんかん薬の種類や投与量は個体差があるので、それぞれに合った投与方法が決まるまで少し時間が必要なこともあります。
抗てんかん薬は薬の性質上、突然ストップしてしまうと発作がひどくなることがあるので、注意が必要です。
症候性てんかんでは、原因となっている病気の治療も重要になります。
発作の症状はそれぞれの症例によって違うので、飼い主様の普段の観察が診断や治療方針の助けとなることが多いです。デジカメや携帯電話で動画を撮影したり、発作の頻度や様子、その時のお天気などを日記に付けていただいたものを持参いただけると、非常に有用です。