鼻と口から肺をつなぐ気管は、気管軟骨と呼ばれる軟骨で筒状になっています。
この気管軟骨が弱くなってしまい、つぶれてしまう状態を気管虚脱と呼びます。
小型犬に多く見られ、高温多湿や煙草の煙などの生活環境、お散歩の時に首輪を引っ張るなどの外的刺激、肥満などが原因として挙げられます。
症状は?
空咳と呼ばれる乾いた咳が特徴です。「カッカッ」と痰が絡んだように聞こえます。
初期には咳の回数も少なく、1回も短く済みますが、症状が進んでくると回数も多くなり、1回咳が出るとなかなか止まらなくなっていきます。
また、咳の最後に戻すような仕草をするようにもなります。気管がつぶれると空気の通りが悪くなるため、呼吸の効率が悪くなり、呼吸困難になってきます。「ガーガー」とガチョウが鳴くような呼吸音になってしまい、舌が紫色になるチアノーゼ(酸欠)を起こしてしまいます。
苦しければ苦しいほど、余計に一生懸命呼吸しようとするために、重症化していくケースもあります。
症状がほとんどないまま進行して、気づいた時にはかなり重症になってしまっている場合もありますので、軽い咳であっても十分な注意が必要です。
治療は?
症状が軽度であれば、気管支拡張剤や去痰剤など、症状に応じた内服薬で咳を緩和することは可能です。
しかし、薬でつぶれた気管を元に戻すことはできませんので、生活環境、食事、体重、運動制限などを生涯にわたり管理し続ける必要があります。重度の場合には手術が必要になります。
咳は気管に大きな負担をかけるだけでなく、体力も消耗します。生活環境や外的刺激、肥満を防ぐなど、快適に過ごせる環境を作ってあげることで、少しでも病気を予防してあげてください。