犬の慢性気管支炎って?
何らかの原因により気道が損傷すると、気管支が肥厚や充血などの組織反応を起こします。組織反応が続くと過剰な粘液が気管支を閉塞したり、気管支の壁を破壊して、気管支拡張や気管支虚脱、肺気腫といった不可逆性(治らない)変化をもたらします。その結果、正常な防御機構が働かなくなり、二次感染などが生じやすくなります。
どうしてなってしまうの?
症状がゆっくり進行し、状態が悪化してから来院する事が多いため、原因は不明なことが多いですが、可能性としては受動喫煙、気道感染、アレルギー、大気汚染などが考えられます。中年齢以上の小型犬に最も多く認められますが、大型犬でも発生報告があります。
症状は?
1年間の間に少なくとも2ヶ月間の連続する慢性的な咳を特徴とします。天候や時間帯、体調によって、咳の頻度は変わる場合もあります。
進行するにつれて、運動すると苦しそうになったり、呼吸困難になって開口呼吸になることもあります。チアノーゼ(舌の色が紫色になる)や虚脱(脱力し、少しの間動けなくなること)が認められることもあります。
一過性に悪化したり、重度に進行した場合を除けば、元気や食欲がなくなる、発熱するなどの全身的な症状は認められないことが多いです。また肥満は症状を悪化させるため、多くの慢性気管支炎の犬で肥満が認められます。
どうしたらいいの?
慢性気管支炎は治らない病気であるため、治療目標は「治すこと」ではなく「病気の進行をできるだけ遅らせること」になります。つまり、薬で症状をできるだけ軽減しながら、感染やアレルゲンに接する環境を避け、体重を管理することです。
生活改善と長期的な管理が必要となるため、ご家族の協力は不可欠です。治療の途中で何かをきっかけに一時的に症状が悪化する場合もありますが、長期管理によって症状をコントロールできれば、支障のない日常生活を送ることができます。