横隔膜ヘルニアって?
腹部(腸管や胃、肝臓などの臓器が入っている)と胸部(肺や心臓が入っている)の間を隔てている膜である横隔膜に穴が開き、腹部の臓器が胸部に入り込み、呼吸器症状や循環器症状がみられる病気です。
原因には、生まれつき横隔膜に穴が開いている先天性のものと、交通事故や落下事故による外傷性のものがあります。症状としては、呼吸が早かったり、呼吸をし辛そうにしている(横隔膜の損傷により呼吸が上手くできないことから)という症状が第一に挙げられます。他には循環器症状として、心臓の動きが悪くなる、血圧低下、胸部や腹部に水が溜まる。消化器症状として、嘔吐や嚥下障害(腸管が横隔膜から飛び出ることによって、腸管が詰まったり、動けなくなるため)、肝臓が飛び出ることによって肝機能の低下、腹膜炎、発作など、ヘルニアを起こす臓器によって症状は様々です。
どうしてなってしまうの?
先天性が原因の場合、犬ではアメリカン・コッカー・スパニエル、ミニチュア・シュナウザー、ワイマラナー、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、猫ではメインクーン、ヒマラヤン、ペルシャなど長毛種に多いとされています。また、犬ではメスよりもオスに多くみられますが、猫では特に雌雄による違いは見られません。先天性の場合、症状は無症状のケースが多く、避妊去勢手術の術前のレントゲン検査で発見されることがあります。胎子の時に横隔膜がうまくつくられない状態で生まれてきてしまったことから起こると考えられています。
どうしたらいいの?
身体検査、レントゲン、超音波検査、血液検査を行い、まずは体の状態を確認します。第一選択としては外科手術です。お腹を開いて、胸部に飛び出している臓器を腹腔内に戻します。ただ、ケースによってはうまく戻せない場合もあるため、内科的な対症療法を行い、手術をしないという選択をすることもあります。